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廃タイヤリサイクルの認定制度を断念

2010/12/01

様々な問題で不可能と判断
排出業者が直接処理業者に委託する制度へ

 

 タイヤのリサイクルルートが大きく様変わりする。国の「指定制度」の経過措置が2011年3 月末に廃止される見通しとなったため、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は「認定制度」への移行を検討していたが、これを断念。このため、廃タイヤは産業廃棄物(産廃)と一般廃棄物(一廃)に区分けされ、収集・運搬に認可の不要な一廃は従来通り業界ルートで回収し、認可の必要な産業廃棄物は排出事業者(運送事業者、バス会社、タクシー会社など)が直接処理事業者に委託する新しいシステムとなる。このため、基本的には販売会社での廃タイヤの収集・運搬ができなくなる。こうした状況を受けて、販売会社組織である全国自動車タイヤ販売協議会連合会と全国8地区の販売協議会は、2011 年3月末をもって廃止されることも決定している。指定制度終了により、処理体制が変わり、業界の新たな取り組みが求められそうだ。
   ◇            ◇   
 従来、廃タイヤのリサイクルは、廃掃法の産業廃棄物広域再生利用指定制度に基づいて全国のタイヤ販売会社・販売店は、指定名簿に登録することによって許可不要で収集・運搬ができたが、平成15 年の法改正で広域認定制度が創設され、指定制度が廃止。事業系の廃タイヤ(産廃)は、無許可では収集・運搬ができなくなった。ただし、経過措置として廃タイヤ処理は、現在まで指定制度がそのまま適用されてきていた。
 しかし、その経過措置も7 年が過ぎ、現状、指定者がタイヤ業界のみとなったことから、環境省の方針で2011 年3 月末をもって経過措置が打ち切られる見通しとなったため、周知のとおり、業界では新たに認定制度を申請することが大きな検討課題になっていた。JATMAでは、様々な検討を加えていたが、認定制度で対象となる産業廃棄物扱いとなる廃タイヤと一般廃棄物の廃タイヤでは管理や処理料金体系などが異なり、「廃タイヤの年間発生量が約1億本に達し、取扱店が13 万店に及ぶことから、これらの金流・物流・情報管理が極めて困難」(全国タイヤ販売協議会連合会)として認定制度は不可能と判断し、申請を行わないことになった
もの。
 このため、一般の消費者が排出する一廃としての廃タイヤは、従来通りタイヤ小売店などがお客などから処理料金を徴収して処理業者に委託するが、許可が必要な産廃としての廃タイヤについては、原則として排出事業者が直接処理業者に処理を委託することになる。
 今回の措置で、全国タイヤ販売協議会連合会(全国8地区の協議会も含む)は2011 年3月いっぱいで解散し、4月からJATMAの事業本部に統合されることが決定している。
 

 

 廃タイヤリサイクルの認定制度を断念 
様々な問題で不可能と判断
排出業者が直接処理業者に委託する制度へ

 

 タイヤのリサイクルルートが大きく様変わりする。国の「指定制度」の経過措置が2011年3 月末に廃止される見通しとなったため、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は「認定制度」への移行を検討していたが、これを断念。このため、廃タイヤは産業廃棄物(産廃)と一般廃棄物(一廃)に区分けされ、収集・運搬に認可の不要な一廃は従来通り業界ルートで回収し、認可の必要な産業廃棄物は排出事業者(運送事業者、バス会社、タクシー会社など)が直接処理事業者に委託する新しいシステムとなる。このため、基本的には販売会社での廃タイヤの収集・運搬ができなくなる。こうした状況を受けて、販売会社組織である全国自動車タイヤ販売協議会連合会と全国8地区の販売協議会は、2011 年3月末をもって廃止されることも決定している。指定制度終了により、処理体制が変わり、業界の新たな取り組みが求められそうだ。
   ◇            ◇   
 従来、廃タイヤのリサイクルは、廃掃法の産業廃棄物広域再生利用指定制度に基づいて全国のタイヤ販売会社・販売店は、指定名簿に登録することによって許可不要で収集・運搬ができたが、平成15 年の法改正で広域認定制度が創設され、指定制度が廃止。事業系の廃タイヤ(産廃)は、無許可では収集・運搬ができなくなった。ただし、経過措置として廃タイヤ処理は、現在まで指定制度がそのまま適用されてきていた。
 しかし、その経過措置も7 年が過ぎ、現状、指定者がタイヤ業界のみとなったことから、環境省の方針で2011 年3 月末をもって経過措置が打ち切られる見通しとなったため、周知のとおり、業界では新たに認定制度を申請することが大きな検討課題になっていた。JATMAでは、様々な検討を加えていたが、認定制度で対象となる産業廃棄物扱いとなる廃タイヤと一般廃棄物の廃タイヤでは管理や処理料金体系などが異なり、「廃タイヤの年間発生量が約1億本に達し、取扱店が13 万店に及ぶことから、これらの金流・物流・情報管理が極めて困難」(全国タイヤ販売協議会連合会)として認定制度は不可能と判断し、申請を行わないことになった
もの。
 このため、一般の消費者が排出する一廃としての廃タイヤは、従来通りタイヤ小売店などがお客などから処理料金を徴収して処理業者に委託するが、許可が必要な産廃としての廃タイヤについては、原則として排出事業者が直接処理業者に処理を委託することになる。
 今回の措置で、全国タイヤ販売協議会連合会(全国8地区の協議会も含む)は2011 年3月いっぱいで解散し、4月からJATMAの事業本部に統合されることが決定している。

 

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青年部が施設見学会を実施

茨自販リサイクルセンターと日鉱環境のHMC工場を見学

 

 青年部(部長、渋谷博文・明輪社長)は、活動の一環として10月15、16日に組合員の茨自販リサイクルセンター(本社・茨城県小玉市)と賛助会員のJX日鉱日石金属の関連会社、日鉱環境・HMC工場(茨城県日立市)の施設見学会を行った。8社が参加し、活発な質問が出るなど、充実した内容となった。

 最初に見学した茨自販リサイクルセンターは、茨城県の自動車販売ディーラーが出資して設立した会社で、廃車になった自動車の適正処理とリサイクルを行っている。この2010年11月に創業15周年を迎えた。

 同社の工場は、廃車車両のリサイクルシステムを確立した全国初のモデル工場で、環境に配慮した工場作り、業界初の廃油廃液処理コンベアシステムの導入、また、公害防止に配慮して、全ての作業を屋内で実施するなどの点が評価され、茨城県廃棄物再資源化指導センターの「リサイクル優良事業認定事例」として紹介されている工場だ。

 工場の敷地内に入ると、まず目に付くのが解体を待つ廃車車両の多さだ。乗用車から軽トラックなど、広大な敷地内に所狭しと並ぶ。中にはまだ使えそうなものも……。約3000台の在庫があるという。廃車は、部品取システムで部品を取り外し、その部品は輸出されたり、国内で販売される。

 部品を取り外した車体は、解体システムへ送られ、アルミ部分は溶解炉でインゴットにされる。残った車体はプレスにかけられ出荷。月間の処理能力は約2000台だという。

 注目されるのが、電線と電子部品関係だ。銅とレアメタルの宝庫で、約200トンが山済みされていた。「ハイブリット車や電気自動車の登場で、この10年で解体業界は大きく様変わりすることが予想される」と担当者は語る。

 

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      茨自販リサイクルセンター                    工場を見学する青年部

 

精錬技術を生かし貴金属を回収

 

 日鉱環境のHMC工場は、資源の有効活用と鉱山や精錬で培った技術を生かし、リサイクル原料から銅や貴金属を回収するリサイクル事業と産業廃棄物を無害化処理し、その中に微量に含まれている有価金属を回収することを目的とした工場。現在は、首都圏で発生するリサイクル原料を効率的に処理し、レアメタルやPGM(白金族金属)を含む貴金属の回収を目指したJX日鉱日石金属の「HMC計画」に基づいて運営されている。工場の名前も、ここから来ている。

 「最終的には都市から発生する有価金属を含む廃電子機器や廃家電製品、また、幅広い業界から発生する非鉄金属資源を完全資源化する」としている。レアメタルに関しては、すでに一部資源化しており、今後の展開が注目される。

 

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                              日鉱環境のHMC工場

 

廃PETボトル、中国向け増大

日本国内よりも2~3倍の取引価格が要因

各自治体も輸出の流れに追従か

 

 使用済みPETボトルの中国への流出が止まらない。北京オリンピック直後には一時輸出が停滞していた廃PETボトルだが、このところ輸出量の増大が加速化してきている。

 財務省の貿易統計によると、1 月~9 月の中国向け廃PETボトルの輸出量は21万8,550tで、前年同期比で2%増。4 年前の約5 倍の勢いで増えている。同時に中国サイドの買い付け価格も急上昇しており、日本国内向けのものより2~3 倍の高値で取引されている。きちんと分別した日本の回収品に、中国の合成繊維メーカーが目を付けたことが要因。財政難の自治体もこれに注目しており、輸出の姿勢を強めている。

 廃PETボトルの中国向け輸出価格は現状、キャップやラベルなどの分別を徹底した場合、平均で1t 5 万5,000 円にまで上昇している。資源として売却されるようになった2006 年以降、最高の高値で取引されており、これは日本容器包装リサイクル協会(容リ協)の落札価格の約2・5 倍。この結果、国内の再生事業者の設備の稼動率低下につながり、廃PETボトルのリサイクルの維持が難しくなる可能性が出てきている。廃PETボトル不足を指摘する声が大きくなっており、一部では再生設備の稼働率が5割程度というところも出てきている。

 この状況は、今後しばらく続きそうで、「原料不足で撤退する企業も増えてくるのでは」と懸念する向きも……。

 ちなみに、年間5,600t を回収している大阪市は、民間業者を通じて大半を輸出している模様で、日本容器包装リサイクル協会の落札価格よりも1 万円以上高く売れるのがその理由のようだ。他の自治体でも同様で、t 当たり5 万5,000円~6 万円の価格で取引されているという。財政難の中、高値で買ってくれる輸出向けに回さざるを得ない──というのが実情のようだ。

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コラム 

レアメタル回収は可能か

回収・再資源化技術の確立が決め手

 

 レアメタルは、携帯電話やパソコン、小型家電など、多種多様に使用されている。家電リサイクル法の対象外になっているものも多く、これらを回収・再資源化する意義は大きい。しかし、現状は、金や白金以外ほとんど回収されていないのが実情。細かく分解・分別されていなからで、「細かく分解され、分別されていれば、ほとんどのレアメタルがリサイクルできる」とリサイクル業者は語る。完全なリサイクルシステムが確立されていないわけだ。

 レアメタルの年間消費量がニッケルは19・6万t、コバルト1・4 万t、タンタル897t、インジウム211tとなっている。世界的な埋蔵量を見ると、日本はかなりの量を輸入している。使用後は、そのほとんどが廃棄物となっている。日本で消費されたレアメタルは、製品、使用済み製品あるいは廃棄物として、国内に相当量蓄積されていると推計され、リサイクル原料として潜在的な量があると思われる。“都市鉱山”といわれているように、全国にある埋め立て地は、回収・再資源化技術が確立されれば、有望なレアメタル鉱脈となる可能性は高い。

 しかし、現在の技術では蓄積されたものすべてが必ずしもリサイクル可能ではないことも知る必要がある。技術確立のための助成も必要に

なってきている。

 

廃ゴムを使ったマット製品を開発

多彩な種類で引き合い活発

ecoライフ

 

 前原化成(本社・群馬県)の関連会社・ecoライフ(群馬県前橋市、TEL027-283-2166)は、タイヤやその他のゴム製品から回収したリサイクル材を使ったゴムマット製品の製造・販売を開始する。廃ゴムを3ミリ程度のチップ状にしたものを原料にしたマット製品で、すでに滑り防止用床材や一部梱包材としても引き合いが活発化してきており、今後の展開が注目される。

 ゴムマット製品は、廃タイヤやその他の廃ゴム製品をチップ状にしたものを原料にしている。これを接着剤と混ぜ、攪拌(かくはん)し、それを金型に入れ、熱と圧力でマット状にする。3 台の製造機で連続成型しているため、生産性も良い。現状の成型品寸法は縦300 ~500 ミリ、横250 ~450 ミリ、厚み15 ~45 ミリと多彩。

 種類は現状、マット製品が10 種類あり、木板と貼り合わせたもの、木材チップと複合させたもの、砂利と複合させたものも開発している。このほか、同成型技術を応用して木材チップ原料のツリーサークル、同車止めなどの製品化にも成功している。

 

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滑り防止用マット

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