年内は2022年12月28日までとなっております。
新年は1月5日より営業いたします。
本年は大変お世話になりました。皆様よいお年をお迎えください。
事務局 一同
]]>30社、45人が集い盛大に祝う、功労者に感謝状も
M.R.A.の設立20周年記念式典が10月11日、東京・日の出桟橋から出発したクルージング船上で行われた。台風が近づき、開催が危ぶまれた中、北海道から九州まで全国から組合員・賛助会員あわせて30社45人が集まり盛大な式典となった。
当日は、式典に先立ち故花沢義和第2代目理事長の黙祷が行われた後、明輪の渋谷博文社長と倉持商店の倉持悦子専務の軽妙な司会で始まった。
中村幸宏理事長(まるげん社長)の「組合発展、組合さん各社の発展のため、お集まりいただいた皆様の今後の尽力を賜りたい」との挨拶の後、組合設立・発展に多大な貢献をされた澁谷吉久(初代理事長)、中島完司(第3代理事長)の両氏に、感謝状と記念品が手渡たされた。
小川一夫相談役の乾杯の発声の後、しばしの歓談。宮司正広理事のバンド演奏をバックに食事をしながら親交を深めた。
アトラクションでは商品をかけて、大じゃんけん大会。大きな盛り上がりを見せ、ランド環境の森雄二社長が勝者となった。
2時間の乗船時間は、あっという間に過ぎ、最後に「今日の良き日を、次の10年、20年に向けた出発の日としていきたい」という森理事の挨拶でお開きとなった。
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パネルや破砕品サンプルを展示
台湾ライフスタイル商談会(主催・台湾貿易センター、後援・日本貿易振興機構)が仙台、名古屋、福岡の3都市で行われるが、ここに、㈱大栄の取引先の台湾の廃タイヤ・廃プラの破砕機メーカー新勝光興業機電有限公司(本社・台北市)が出展する。
特に廃タイヤについては、ビードワイヤーなどの金属や布などを99%以上除去し、ゴムチップのみを分離できる一貫ラインを製造している機械メーカー。破砕機の刃の自動研磨装置も作っており、日本ではヒカリワールド(奈良県五條市)が導入している。
商談会では、パネル展示のほか、破砕品のサンプルも展示する。商談日程は、7月8日(月)が仙台市のウェステヒンホテル仙台のグランドボルルーム、7月月10日(水)が名古屋市のヒルトン名古屋、7月12日(金)が福岡市の西鉄グランドホテル・プレジール(A)となっている。
M.R.A.設立20周年記念行事を10月11に
組合員、賛助会員を招き、東京湾サンセットクルーズで盛大に
今年で設立20周年を迎えるM.R.A.は10月11日(金)に組合員、賛助会員を招いて記念の式典と懇親会を行う。組合員・賛助会全員で、東京・日の出桟橋から出発するグルージング船の1室を借り切って、「東京湾サンセットクルーズ」と銘打って設立20周年を盛大に祝おうというもの。参加費は1人1万2千円の予定で、約50人の参加を見込んでいる。
平成11年11月4日に廃タイヤの収集・運搬・中間処分の26社で出発した組合も、現在では44社になり、賛助会の8社を加えれば52社までに成長、設立当初の倍の勢力となって大きなり、職種も廃タイヤリサイクルだけでなく、廃プラスチック、金属スクラップ、古紙リサイクル、PCB処理。汚泥処理、特別管理廃棄物の医療廃棄物など、多岐上っている。
また、経済産業省関東経済産業局から「官公需適格組」の証明を受け、防衛省をはじめ全国の自衛隊、公立大学、公立病院の産業廃棄物処理を行っている。
このほか、軽油・ガソリンの共同購入でどこよりも低価格な燃料の供給も実現しており、事業の大きな柱となっている。
]]>新理事長・代表理事に㈱まるげんの中村社長が就任
新理事に前原、倉持、北川の各氏、新監事には三輪氏
M.R.A.の第20期となる定期総会が6月1日(土)に東京・中央区の鉄鋼会館で開かれた。席上、㈱まるげんの中村幸宏社長が新理事長(代表理事)に選出された。前理事長の中島完司㈲進栄産業社長は、相談役・理事として組合の運営に携わることになった。また、新副理事長に㈱ランド環境の森雄二社長、㈱リプラスの箕輪貴之社長が就任。このほか、新理事に℮COライフ㈱の前原政輝社長、㈲倉持商店の倉持悦子専務、一般社団法人・環境・エネルギーサービスの北川和生理事(員外)の3氏が就任。監事には三光㈱の三輪昌輝社長が選出された。今回の役員改選では、大幅な若返りが図られ、10月の組合設立20周年記念行事は、この新体制で迎えることになる。
総会では、平成30年度の事業報告、同決算書、令和元年の事業計画案などが全会一致で承認され、併催の特別講演では、日本環境衛生センターの奥村明雄会長、㈱グリーンベルの葛西宜行社長が講演を行った。奥村会長は、自身が進めている4つの事業について話し、葛西社長はトラック輸送中での事故の対処の仕方、リースの組み方などを講演。実りある内容となった。
]]>日本資源再生事業協同組合(M.R.A.)の第18回定期総会が、5月27日に東京・中央区の鉄鋼会館で開かれた。中島完司理事長(進栄産業社長)の挨拶の後、宮司産業社長の宮司正広氏が議長に選出され、平成28年度の事業報告・決算書類・損失処理案、平成29年度の事業計画案・予算案、平成29年度の賦課金徴収案などが審議され、満場一致で承認された。
賦課金については、来期の官公需適格組合更新を目指して、月額1,000円引き上げることが決められた。
また、任期満了による役員全員の改選が行われ、満場一致で中島理事長が再任され、新任理事に山口利勝氏、宮司正広氏(宮司産業)、新任監事に足立貢氏(三光)が、これも満場一致で選任された。平成29年・30年度の役員体制は以下の通り。
代表理事・理事長 重任 中島 完司(有限会社進栄産業)
副理事長 重任 小川 一夫(株式会社大栄)
副理事長 重任 澁谷 博文(株式会社明輪)
理 事 重任 中村 幸宏(株式会社まるげん)
理 事 重任 達川 修(株式会社三栄マテリアルズ)
理 事 重任 金城 滋(株式会社金城滋商事)
理 事 重任 箕輪 貴之(株式会社リプラス)
理 事 重任 森 雄二(株式会社ランド環境)
理 事 重任 須藤 由彦(株式会社環境保全事業)
理 事 重任 大塚 節男(有限会社大光産業)
理 事 重任 小山内 源彌(有限会社ホクエイ環境)
理 事 新任 宮司 正広(宮司産業株式会社)
理 事 新任 山口 利勝(員 外)
専務理事 重任 松岡 秀治(員 外)
監 事 新任 足立 真(三光株式会社)
総会終了後、現在、M.R.A.が進めている廃タイヤを使った発電プロジェクトについてセミナーが行われた。賛助会員であり、プロジェクトのコーディネイトを進めているe-エンターテイメント、e-スクウェアを講師に行われたもので、プロジェクトの概要、FIT認定への進捗状況、資源エネルギー庁との打ち合わせ状況、課題などが説明された。
セミナ―終了後は、懇親会が開かれ、組合員、賛助会、JATMA関東支部など、相互に意見交換を行いながら親睦を深めた。
]]>サニクリーン東京、リプラスを見学
青年部( 部長・渋谷博文)恒例の施設見学研修会が3月8日に行われた。8社10人が参加した今回は、千葉県袖ケ浦市にある株式会社サニクリーン東京(本社・神奈川県)の千葉工場と株式会社リプラス(箕輪貴之社長)の本社袖ケ浦工場を見学した。
サニクリーン東京の千葉工場は、平成23年11月完成した環境配慮型の新世代工場として建てられたものだ。企業や店舗などがレンタルで使っている玄関マットやモップなどを、洗浄・リフレッシュしている。工場はクリーンエリアとダーティーエリアに完全に区分されており、工場内の衛生管理、作業環境の改善に最大限に配慮した作りになっている。
注目されるのが玄関マットの洗浄工程だ。水のリサイクルやショックアブソーバーの強化によるアンバランス低減など新機能が標準装備されており、データセットシステムで全ての洗濯機、乾燥機のプログラムを一元管理したライン。洗浄ラインへの投入、搬送、排出、乾燥工程まで完全自動化されている。
工場2階の集塵機に投入されたマットは、集塵後1階にある大きなドラム式の洗濯機送られ、洗浄。洗浄・脱水後は、自動コンベアで乾燥機に。乾燥機は、省エネタイプ新型機で、従来機よりも蒸気の使用量を約50%削減できるものだ。
洗浄で使った汚水は、別棟にある排水処理設備に送られる。凝集沈殿方式で、処理能力は1日1000t。排水リサイクルシステムは毎時24tの処理能力がある。
10キロワットの太陽光発電を設備しているのも注目される点。事務所や休憩場などの共有スペースの電力量をカバーしている。また、トイレや通路、エントランスなどの共有スペースは全てLED 照明を採用。センサーで自動的にオンオフされ、使用しない時は全く電力を使わないように工夫されている。
サニクリーン東京工場 玄関マットの洗浄工程
廃プラで多彩な製品を
資源循環型社会に貢献
リプラスは、廃プラスチックや廃袋を原料とした再生品の製造販売を始め、合成樹脂の加工販売、プラスチック製品の金型企画、樹脂コンパウンディング事業(中国)、産廃の収集運搬・特別管理廃棄物の収集運搬事業を行っている。もちろん、全事業所でISO14001 を取得している。
本社工場は、袖ケ浦市椎の森にある。平成20年に竣工した新しい工場だ。廃プラを原料に、土木建設用資材、輸送・保管資材、農林・水産用資材、電力・通信用資材、公園用資材などを製造している。生産能力は製品ベースで月産300トンにのぼる。収集された廃プラは、まず入念なチェックが行われる。より良い製品を安定的に製造するためだ。チェックされた廃プラは、異物を取り除き、さらに選別して前処理として粉砕機にかけられる。
廃プラから回収した原料を、製品の使用目的に合わせてブレンド・撹拌し、これを押し出し成形機で加熱し溶融する。溶融された樹脂は金型に流し込み成型し、冷却工程へ。「多種多様な製品を連続して製造することができるので、小ロットの製品にも対応できます」と箕輪社長は語る。また、金属のインサート品の製造も可能だという。
リプラスの本社工場
注目される紙管のリサイクル
トナー容器のリユースにも高い技術
倉持商店
倉持商店(倉持憲子社長、茨城県坂東市)は、紙からプラスチック、鉄などをリサイクルしている企で、同社では段ボール工場などから出る使用済み紙管を回収し、残存している紙を取り除いて再加工している。
紙管はさまざまな長さのものがあるが、それをカットしたりつないだりし、さらには破損した部分などを補修して再生。これを製紙工場へ納めている。残存紙は、紙原料としてプレスをかけ、これも製紙会社へ納品する。
紙管は両サイドに口金が付いているが、これは外し、金属スクラップとして再資源化する。同社では、製紙用の紙管以外にもプラスチックフィルム用の紙管の再生も手掛けているという。
プラスチック分野は、コピー機の使用済みトナーボックス、トーナーボトル、ドラムCRGなどを再生している。中の残存トナーを取り除き、本体表面の汚れを除去してチェックをする。使用不可の部品がある場合は、その部品を交換し、再度検査してメーカーに戻す。これは、メーカーの品質基準をもとにリサイクル品として再び市場に投入されるという。ドラムCRGは、一部部品のみ再生部品としてリユースされる。なお、破損がありリユースできないものについては、粉砕処理し、プラスチック原料としてリサイクルされるという。
紙管の再生工程
ユーザー訪問
バイオ設備で重油使用量を大幅削減
木質チップ、樹皮、カットタイヤを燃料に
大王製紙可児工場
今期からM.R.A.と取引をスタートさせる予定の大王製紙可児工場(岐阜県可児市)は、敷地面積23万7000 ㎡の規模。約550人が働く同社の有力工場だ。印刷用紙から情報用紙、クラフト紙、包装用紙、特殊紙、家庭紙、パルプなどの製造を行っている。生産能力はクラフトパルプで月3万4000トン、古紙パルプで同4500トン、紙製品は同2万8500トンある。
製紙原料としては、広葉樹・針葉樹チップのほか、チラシ、新聞などの古紙も年間3万5000トンを使用している。ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパーの有力ブランド「エリエール」も、この工場で作られている。家庭紙は、日産約310トンの生産能力がある。
電気エネルギーの66%が自家発電
これだけの規模の工場なので、使うエネルギーも大変な量だが、スラッジボイラー発電設備、バイオマスボイラー発電設備、バイオマスガス化設備、バイオマスボイラー蒸気製造設備などを駆使し、電気エネルギーは4万5800キロワットを自家発電でまかなっている。自家発電率は66%に上る。蒸気に関しては毎時380トンの能力がある。
バイオマスボイラー発電設備は木質チップやカットタイヤ、RPFなどを燃料として使用。カットタイヤは現在、2インチアンダーにシフトしつつあるが、月2000トン以上を使用している。この設備だけで、年間1万6000キロリットルの重油使用量を減らしている。スラッジボイラー発電設備は、製紙工程で発生するペーパースラッジや木質チップ、樹皮、RPFなどを使って発電している。この設備だけで年間7000キロリットルの原油使用量を削減しているという。
バイオマスガス化設備は平成20年11月に稼働させた注目される設備。乾燥ゾーン、熱分解ゾーン、還元ゾーン、酸化ゾーンに分かれており、投入した木質の生物資源からメタン、水素、一酸化炭素、タールなどを取り出す。酸化ゾーンは最下層のゾーンで、残った熱源成分をここで燃焼させ、ガス化反応に必要な熱を各ゾーンに還元するようなっている。この設備で、重油は年間4000キロリットル削減でき、二酸化炭素も年間1万1960トン低減できるようになったという。
バイオマスボイラー蒸気製造設備も、木質燃料、樹皮を使用している。従来はA重油を使用していたものをこれに置き換え、年間4800キロリットルの重油削減を実現している。環境負荷低減を目指した注目される工場だ。
テッシュペーパーのロール 木質バイオ燃料
電通総研、震災1年の消費者意識調査
「復興した」との声は今だ35%
電通総研が注目される調査を行った。先ごろ発表された「震災後2年目に向けての生活者の意識と行動変化」がそれだ。2月下旬から3月初旬に全国の20~69歳までの男女を対象にインターネットで行ったもので、このデータを分析したものだ。回答は2000人。
調査では、「震災後の意識変化」については、「想定外の事態を想定して対策を立てたい」(72.7%)、「ささやかな幸せを大切にしたい」(69.8%)という結果になった。これは震災後1か月後に調査した時よりも増えているという。また、「節電や節水をする」(68.3%)と高い水準を示したという。同総研では、「震災後のライフスタイルが、一過性で終わらず定着した」と分析している。
復旧、復興については、日常に支障がない水準を復旧、経済活動が再活性化した状態を復興と定義づけ、現状に対する認識を質問したところ、「復旧した」する意見が54.5%と過半数を超えた。その一方「復興した」とする回答は35 %にとどまった。また、「復興していない」と回答した人は、65%にのぼり、圧倒的多数となった。東大日本震災の記憶については、約半数が「風化してきている」(50.2%)と答えた。しかし、実際の被害地域となった福島、宮城、岩手の3県では、同じ質問に対し、「風化してきている」と回答したのは36%に止まっており、全国との温度差が見られた。現実に復興作業も前に進んでいないこともあり、震災地にとっては未だ震災の渦中にあるとのことのようだ。
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復旧・復興をサポート
政府は、超法規的な方策で
地元に権限を
日本資源再生事業進行協同組合
理事長 花澤 義和
このたびの東日本大震災で亡くなられた方々に、衷心よりお悔やみ申し上げます。また、被害を受けた方々に、心よりお見舞い申し上げます。4 月、5月上旬の2度に分けて、私は何かお手伝いできることはないかと宮城、岩手の災害地へ状況を見に行ってまいりました。現場は想像以上に凄まじく、手付かずの災害廃棄物の山でした。現場でしか処理ができないほど膨大な量で、一種独特の悪臭も強く、このまま放置しておくと感染症が起きる危険性があることを強く感じました。
大震災から1ヵ月が過ぎ、2ヵ月が過ぎても現場は何も進んでいない状況でした。現地では、「政府は、委員会を多数立ち上げ、会議ばかりやっている。現場には何の役にも立っていない」という声が圧倒的でした。地元の自治体関係者は必死で頑張っているのですが、原発の問題もそうですが、政府の打つ手が遅く、これが復旧・復興が進まない大きな要因になっています。国が廃棄物処理費用を負担することになりましたが、その方法を組み立ていることができないというのが実情です。現場にプロがいないからです。現地の処理業者も、機材が全て津波で流され対応ができない状況になっています。廃棄処理のプロがいなくなっているわけです。政府にプロがいない。現場にもプロがいない。上から下まで、素人で対応しているのが実態です。
復興に向けて手を付けなければならないことは山ほどあります。津波で生じた災害廃棄物の中には、アスベストや有害なPCB を含んだコンデンサーや微量PCBを含んだ蛍光灯などが、渾然となった状態になっています。これは、今後処理方法などで問題が起きてくることが確実視されます。このほか、下水道の復旧が全く手付かずで残っています。上水が復旧しても、それを処理する下水道が復旧しなければ、感染症の問題がより広がる危険性があります。
そんな中で、災害廃棄物を自分たちの手で片付けようという機運が被災者の中から出てきています。これを、地元の新しい雇用に結び付けなければならないと考えます。未曾有の災害で、企業が被害を受け、津波で会社そのものがなくなった地域も多くあります。そのため、被災者の今一番の不安は雇用問題です。津波で一気に仕事がなくなってしまい、10 万人以上が職を失ったと報道されている通り、こうした不安も当然です。廃棄物処理のプロがサポートしながら、地元の人たちを中心とした廃棄物処理が早急に求められています。また、膨大な義援金や各国から多大な支援がきていますが、被災者にはほとんど届いていないのも大きな問題です。原発の問題で、政府から明確な方針が打ち出されていないからです。このままでは、被災者が生活苦になることは、目に見えています。「被災者は置き去りにされている」というのが現状です。
非常時にはスピードが必要です。政府が非常事態宣言をして、首長に権限と財源を与え、新しい組織を組み立て、地域に雇用を生み出しながら進まなければ、復興は進まないと考えます。非常時にはシンプルな組織が必要です。首長を中心にして地元の業者を軸に、災害廃棄物処理で被災者の雇用を生み出しながら進めないと、復旧・復興は大幅に遅れます。会議は不要。今を何とかしなければ、復旧・復興は進まない。被災者を一歩でも前進させることが重要です。せっかく、被災者の間に災害廃棄物を自分たちで片付けようという機運が出てきていますから、これを新規雇用に結びつけることが、復興を早める道と確信します。
日本は、かなりの産業基盤を東北に依存してきました。復興が失敗すれば、国力が低下することは、火を見るよりも明らかです。政府は国家非常事態宣言をして、超法規的な方策を行い、地元に雇用を生み出すことが、復興の早道だと考えます。
青年部が施設見学会、明輪、前原化成を視察
花澤理事長も参加
青年部(部長・渋谷博文社長)の施設見学研修会が1 月29 日に行われた。今回は、8 社が参加し、株式会社明輪(群馬県渋川市)の廃タイヤ処理施設、前原化成(群馬県前橋市)・エコ推進事業部の廃プラスチック処理・リサイクル施設を見学した。
明輪では、事務所でのレクチャーの後、廃タイヤの集積場をはじめ、カット加工している現場などを見学。カットタイヤの工程では、ホイールや、タイヤの中にある金属のビードが抜き取られたものが、コンベアで自動搬送され、次々とカット工程に送られていた。タイヤのカット品、ホイール、ビードなどがきれいに分別されていた。カットタイヤは、製紙会社や化学品会社のボイラー用燃料として使われ、ホイールやビードはリサイクル原料として使われる。
今回の施設見学会参加者は5 社が廃タイヤ以外の分野の企業だったため、初めて見る廃タイヤの加工現場を、興味深そうに眺め、明輪の渋谷社長に多彩な質問をしていた。
タイヤのストックヤードを見学
前原化成では花澤義和理事長も参加。同社の概要の説明後、廃プラスチック処理プラント、リサイクルプラントのほか、同社の関連会であるエコ・ライフ(群馬県前橋市)も見学した。エコ推進事業部では、廃プラからペレットを作る工程、それを使った製品製造工程を、メモを取りながら熱心に見ていた姿が印象的だった。
ecoライフは、廃タイヤから回収したリサイクルゴム材を使ったマット製品の製造・販売を行っている会社。3 ミリ程度のチップ状にした原料ゴムをマット状にした製品は、すでに滑り防止用床材などに一部使用されている。原料チップを接着剤と混ぜてかく拌し、これを金型に入れて成型機で熱と圧力でマット状にする。現在、3 台の成型機で連続成型しており、生産性効率を高めている。
今回の施設見学会の参加者は下記の通り。明輪、三協興産、倉持商店、油研、リプラス、前原化成、宮路産業、前原化成
廃プラからペレットを作る工程
フォーカス
震災後、消費者の意識が大きく変化
省エネ、節約、預貯金の時代へ
東北から関東にかけて大きな被害をもたらした東日本大震災だが、日本人の行動に大きな影響をもたらしているようだ。震災前と後では、「消費者の意識に大きな変化が起きている」という調査が先ごろ発表された。クロスマーケティングの「首都圏における震災1ヵ月後の生活と消費の意識」調査がそれだ。
同調査は、首都圏40 キロ圏内の18 ~75 歳の男女4,260 人を対象にした意識調査で、昨年10 月の時点と、大震災の1 ヵ月後の今年4 月に同じ質問をしたもの。結果は消費マインドの冷え込みが顕著になっているという。
注目されるのが、「買い物は計画的にする」が今回の調査では大きく伸びている点だ。前回は回答の4 割程度だったものが、今回は6 割近くにまで伸びている。反対に「買い物が好きで楽しんでいる」は、59%(前回10 月)から43%(今回4 月)と、前回よりもマイナス16%と激減している。このほか、生活への意識としては、「背伸びをせずに自分にあった生活をしていきたい」、「生活のムダをはぶいて、飾らない簡素な生活をしたい」、「古くからあるものの良さを見直して、生活の中に取り入れていきたい」が、前回調査よりも3~5%伸びている。
また、5 月12 日~5 月15 日に行った「第2回首都圏における震災2 ヵ月後の生活と消費の意識」調査では、日々の生活はほぼ元に戻ったとしながらも、ゴールデンウィークで近場の施設が賑わった背景に、「今年は家計が苦しいから」、「今後収入が減るかもしれない」、「先行きが不安なのでなるべくお金を節約」といった事柄を上げている。先行きの全く見えない状況、生活不安が大きな要因になっていると同調査では結論付けている。復興税に名を借りた増税や電気料金値上げの懸念など、今後の景気や物価に対する不安感が大きく影を落とした結果と見ていい。
別の調査では、今後の消費動向の見通しを、従来の成長期の消費スタイルから、LOHAS(ロハス)やスローライフ、エコロジーなどをキーワードにした新しい消費スタイルへと変化すると見ている。持ち家や車の所有から、賃貸住宅、カーレンタル・カーシェアリングへの移行現象が強まっているのが、その顕著な例だ。また、エネルギー節約(東電の電力供給量の減少の影響大)、コスト節約(先行きの不安)などから、「借金より預貯金へ」の流れが強まると見ている。これらが、今回の大震災を機に、さらに進んでいくとしている。消費者の意識は、急激に変わっている。それにつれて、企業の戦略も変わらざるを得ないかもしれない。
エフピコ、廃PETボトルの回収システム作りへ
自社の透明容器原料に活用
M.R.A.に協力要請
スーパーやコンビニエンス・ストアで使われている食品用PSP(ポリスチレン・ペーパー)トレーのトップメーカーのエフピコ(本社・広島県福山市)は、リサイクルトレーに続き、廃PETボトルを原料にしたリサイクルフードパック・透明容器分野で本格展開をスタートさせた。すでに岐阜県内に大規模なリサイクル工場を設備しており、PETボトル回収システム作りに、日本資源再生事業振興協同組合(M . R . A .)へ協力要請を行った。2 年後には関東地区にもリサイクル工場を作る計画で、今後の展開が注目されている。
同社は、トレーメーカーの最大手で、リサイクルにも業界で真っ先に取り組み、エコトレーという大ヒット商品を生み出している。リサイクル分野に乗り出してから大幅に売り上げを伸ばし、現在年商約1,500 億円の規模。以前からフードパックやその他の透明容器のリサイクルにも乗り出す意向を示し、研究・開発を重ねてきたもの。現在、順調に伸びており、将来を見越してPETボトル回収システム作りをM.R.A.に協力を要請してきたものだ。
廃PETボトルは自治体回収が基本になっているが、独自ルートでの回収も行われている。4 月現在で、ベーラー品(圧縮された状態)で1トン当たり45,000 ~55,000 円の間で取引されており、一部は原料として海外にも輸出されている
タイヤのリサイクルルートが大きく様変わりする。国の「指定制度」の経過措置が2011年3 月末に廃止される見通しとなったため、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は「認定制度」への移行を検討していたが、これを断念。このため、廃タイヤは産業廃棄物(産廃)と一般廃棄物(一廃)に区分けされ、収集・運搬に認可の不要な一廃は従来通り業界ルートで回収し、認可の必要な産業廃棄物は排出事業者(運送事業者、バス会社、タクシー会社など)が直接処理事業者に委託する新しいシステムとなる。このため、基本的には販売会社での廃タイヤの収集・運搬ができなくなる。こうした状況を受けて、販売会社組織である全国自動車タイヤ販売協議会連合会と全国8地区の販売協議会は、2011 年3月末をもって廃止されることも決定している。指定制度終了により、処理体制が変わり、業界の新たな取り組みが求められそうだ。
◇ ◇
従来、廃タイヤのリサイクルは、廃掃法の産業廃棄物広域再生利用指定制度に基づいて全国のタイヤ販売会社・販売店は、指定名簿に登録することによって許可不要で収集・運搬ができたが、平成15 年の法改正で広域認定制度が創設され、指定制度が廃止。事業系の廃タイヤ(産廃)は、無許可では収集・運搬ができなくなった。ただし、経過措置として廃タイヤ処理は、現在まで指定制度がそのまま適用されてきていた。
しかし、その経過措置も7 年が過ぎ、現状、指定者がタイヤ業界のみとなったことから、環境省の方針で2011 年3 月末をもって経過措置が打ち切られる見通しとなったため、周知のとおり、業界では新たに認定制度を申請することが大きな検討課題になっていた。JATMAでは、様々な検討を加えていたが、認定制度で対象となる産業廃棄物扱いとなる廃タイヤと一般廃棄物の廃タイヤでは管理や処理料金体系などが異なり、「廃タイヤの年間発生量が約1億本に達し、取扱店が13 万店に及ぶことから、これらの金流・物流・情報管理が極めて困難」(全国タイヤ販売協議会連合会)として認定制度は不可能と判断し、申請を行わないことになった
もの。
このため、一般の消費者が排出する一廃としての廃タイヤは、従来通りタイヤ小売店などがお客などから処理料金を徴収して処理業者に委託するが、許可が必要な産廃としての廃タイヤについては、原則として排出事業者が直接処理業者に処理を委託することになる。
今回の措置で、全国タイヤ販売協議会連合会(全国8地区の協議会も含む)は2011 年3月いっぱいで解散し、4月からJATMAの事業本部に統合されることが決定している。
廃タイヤリサイクルの認定制度を断念
様々な問題で不可能と判断
排出業者が直接処理業者に委託する制度へ
タイヤのリサイクルルートが大きく様変わりする。国の「指定制度」の経過措置が2011年3 月末に廃止される見通しとなったため、日本自動車タイヤ協会(JATMA)は「認定制度」への移行を検討していたが、これを断念。このため、廃タイヤは産業廃棄物(産廃)と一般廃棄物(一廃)に区分けされ、収集・運搬に認可の不要な一廃は従来通り業界ルートで回収し、認可の必要な産業廃棄物は排出事業者(運送事業者、バス会社、タクシー会社など)が直接処理事業者に委託する新しいシステムとなる。このため、基本的には販売会社での廃タイヤの収集・運搬ができなくなる。こうした状況を受けて、販売会社組織である全国自動車タイヤ販売協議会連合会と全国8地区の販売協議会は、2011 年3月末をもって廃止されることも決定している。指定制度終了により、処理体制が変わり、業界の新たな取り組みが求められそうだ。
◇ ◇
従来、廃タイヤのリサイクルは、廃掃法の産業廃棄物広域再生利用指定制度に基づいて全国のタイヤ販売会社・販売店は、指定名簿に登録することによって許可不要で収集・運搬ができたが、平成15 年の法改正で広域認定制度が創設され、指定制度が廃止。事業系の廃タイヤ(産廃)は、無許可では収集・運搬ができなくなった。ただし、経過措置として廃タイヤ処理は、現在まで指定制度がそのまま適用されてきていた。
しかし、その経過措置も7 年が過ぎ、現状、指定者がタイヤ業界のみとなったことから、環境省の方針で2011 年3 月末をもって経過措置が打ち切られる見通しとなったため、周知のとおり、業界では新たに認定制度を申請することが大きな検討課題になっていた。JATMAでは、様々な検討を加えていたが、認定制度で対象となる産業廃棄物扱いとなる廃タイヤと一般廃棄物の廃タイヤでは管理や処理料金体系などが異なり、「廃タイヤの年間発生量が約1億本に達し、取扱店が13 万店に及ぶことから、これらの金流・物流・情報管理が極めて困難」(全国タイヤ販売協議会連合会)として認定制度は不可能と判断し、申請を行わないことになった
もの。
このため、一般の消費者が排出する一廃としての廃タイヤは、従来通りタイヤ小売店などがお客などから処理料金を徴収して処理業者に委託するが、許可が必要な産廃としての廃タイヤについては、原則として排出事業者が直接処理業者に処理を委託することになる。
今回の措置で、全国タイヤ販売協議会連合会(全国8地区の協議会も含む)は2011 年3月いっぱいで解散し、4月からJATMAの事業本部に統合されることが決定している。
青年部が施設見学会を実施
茨自販リサイクルセンターと日鉱環境のHMC工場を見学
青年部(部長、渋谷博文・明輪社長)は、活動の一環として10月15、16日に組合員の茨自販リサイクルセンター(本社・茨城県小玉市)と賛助会員のJX日鉱日石金属の関連会社、日鉱環境・HMC工場(茨城県日立市)の施設見学会を行った。8社が参加し、活発な質問が出るなど、充実した内容となった。
最初に見学した茨自販リサイクルセンターは、茨城県の自動車販売ディーラーが出資して設立した会社で、廃車になった自動車の適正処理とリサイクルを行っている。この2010年11月に創業15周年を迎えた。
同社の工場は、廃車車両のリサイクルシステムを確立した全国初のモデル工場で、環境に配慮した工場作り、業界初の廃油廃液処理コンベアシステムの導入、また、公害防止に配慮して、全ての作業を屋内で実施するなどの点が評価され、茨城県廃棄物再資源化指導センターの「リサイクル優良事業認定事例」として紹介されている工場だ。
工場の敷地内に入ると、まず目に付くのが解体を待つ廃車車両の多さだ。乗用車から軽トラックなど、広大な敷地内に所狭しと並ぶ。中にはまだ使えそうなものも……。約3000台の在庫があるという。廃車は、部品取システムで部品を取り外し、その部品は輸出されたり、国内で販売される。
部品を取り外した車体は、解体システムへ送られ、アルミ部分は溶解炉でインゴットにされる。残った車体はプレスにかけられ出荷。月間の処理能力は約2000台だという。
注目されるのが、電線と電子部品関係だ。銅とレアメタルの宝庫で、約200トンが山済みされていた。「ハイブリット車や電気自動車の登場で、この10年で解体業界は大きく様変わりすることが予想される」と担当者は語る。
茨自販リサイクルセンター 工場を見学する青年部
精錬技術を生かし貴金属を回収
日鉱環境のHMC工場は、資源の有効活用と鉱山や精錬で培った技術を生かし、リサイクル原料から銅や貴金属を回収するリサイクル事業と産業廃棄物を無害化処理し、その中に微量に含まれている有価金属を回収することを目的とした工場。現在は、首都圏で発生するリサイクル原料を効率的に処理し、レアメタルやPGM(白金族金属)を含む貴金属の回収を目指したJX日鉱日石金属の「HMC計画」に基づいて運営されている。工場の名前も、ここから来ている。
「最終的には都市から発生する有価金属を含む廃電子機器や廃家電製品、また、幅広い業界から発生する非鉄金属資源を完全資源化する」としている。レアメタルに関しては、すでに一部資源化しており、今後の展開が注目される。
日鉱環境のHMC工場
廃PETボトル、中国向け増大
日本国内よりも2~3倍の取引価格が要因
各自治体も輸出の流れに追従か
使用済みPETボトルの中国への流出が止まらない。北京オリンピック直後には一時輸出が停滞していた廃PETボトルだが、このところ輸出量の増大が加速化してきている。
財務省の貿易統計によると、1 月~9 月の中国向け廃PETボトルの輸出量は21万8,550tで、前年同期比で2%増。4 年前の約5 倍の勢いで増えている。同時に中国サイドの買い付け価格も急上昇しており、日本国内向けのものより2~3 倍の高値で取引されている。きちんと分別した日本の回収品に、中国の合成繊維メーカーが目を付けたことが要因。財政難の自治体もこれに注目しており、輸出の姿勢を強めている。
廃PETボトルの中国向け輸出価格は現状、キャップやラベルなどの分別を徹底した場合、平均で1t 5 万5,000 円にまで上昇している。資源として売却されるようになった2006 年以降、最高の高値で取引されており、これは日本容器包装リサイクル協会(容リ協)の落札価格の約2・5 倍。この結果、国内の再生事業者の設備の稼動率低下につながり、廃PETボトルのリサイクルの維持が難しくなる可能性が出てきている。廃PETボトル不足を指摘する声が大きくなっており、一部では再生設備の稼働率が5割程度というところも出てきている。
この状況は、今後しばらく続きそうで、「原料不足で撤退する企業も増えてくるのでは」と懸念する向きも……。
ちなみに、年間5,600t を回収している大阪市は、民間業者を通じて大半を輸出している模様で、日本容器包装リサイクル協会の落札価格よりも1 万円以上高く売れるのがその理由のようだ。他の自治体でも同様で、t 当たり5 万5,000円~6 万円の価格で取引されているという。財政難の中、高値で買ってくれる輸出向けに回さざるを得ない──というのが実情のようだ。
コラム
レアメタル回収は可能か
回収・再資源化技術の確立が決め手
レアメタルは、携帯電話やパソコン、小型家電など、多種多様に使用されている。家電リサイクル法の対象外になっているものも多く、これらを回収・再資源化する意義は大きい。しかし、現状は、金や白金以外ほとんど回収されていないのが実情。細かく分解・分別されていなからで、「細かく分解され、分別されていれば、ほとんどのレアメタルがリサイクルできる」とリサイクル業者は語る。完全なリサイクルシステムが確立されていないわけだ。
レアメタルの年間消費量がニッケルは19・6万t、コバルト1・4 万t、タンタル897t、インジウム211tとなっている。世界的な埋蔵量を見ると、日本はかなりの量を輸入している。使用後は、そのほとんどが廃棄物となっている。日本で消費されたレアメタルは、製品、使用済み製品あるいは廃棄物として、国内に相当量蓄積されていると推計され、リサイクル原料として潜在的な量があると思われる。“都市鉱山”といわれているように、全国にある埋め立て地は、回収・再資源化技術が確立されれば、有望なレアメタル鉱脈となる可能性は高い。
しかし、現在の技術では蓄積されたものすべてが必ずしもリサイクル可能ではないことも知る必要がある。技術確立のための助成も必要に
なってきている。
廃ゴムを使ったマット製品を開発
多彩な種類で引き合い活発
ecoライフ
前原化成(本社・群馬県)の関連会社・ecoライフ(群馬県前橋市、TEL027-283-2166)は、タイヤやその他のゴム製品から回収したリサイクル材を使ったゴムマット製品の製造・販売を開始する。廃ゴムを3ミリ程度のチップ状にしたものを原料にしたマット製品で、すでに滑り防止用床材や一部梱包材としても引き合いが活発化してきており、今後の展開が注目される。
ゴムマット製品は、廃タイヤやその他の廃ゴム製品をチップ状にしたものを原料にしている。これを接着剤と混ぜ、攪拌(かくはん)し、それを金型に入れ、熱と圧力でマット状にする。3 台の製造機で連続成型しているため、生産性も良い。現状の成型品寸法は縦300 ~500 ミリ、横250 ~450 ミリ、厚み15 ~45 ミリと多彩。
種類は現状、マット製品が10 種類あり、木板と貼り合わせたもの、木材チップと複合させたもの、砂利と複合させたものも開発している。このほか、同成型技術を応用して木材チップ原料のツリーサークル、同車止めなどの製品化にも成功している。
滑り防止用マット
M.R.A.特任顧問
財段法人・日本環境衛生センター理事長 奥村 明雄
昨年は、100 年に1 度の世界的な不況の中で明けました。経済は、底打ちをしたといわれておりますが、失業率は高止まりをしており消費も低迷を続けるなど、国内の様相は依然として厳しい状況が続いています。中国をはじめとするアジアの国々の急速な回復に支えられた輸出の改善による回復が進んでいるものの、株価も世界の回復傾向に遅れるなど依然として重苦しい状況が続いており、一部では二番底の懸念もささやかれています。こうした中で明けた寅年の今年は、本格的な景気回復の年であって欲しいというのが皆さんの気持ちではないかと思います。
昨年秋には政権交代があり、民主党政権の下で改革の動きも進んでいます。環境面では、特にそうした雰囲気が強く感ぜられます。自民党政権においても、環境政策の推進をきっかけとして新しい産業を創出し、これを不況克服の柱にしようとするグリーン・ニューディール政策が大きく取り上げられました。民主党政権においても環境、医療、農業等を柱とする経済成長を目指すとしており、このような流れは加速こそすれ停滞することはないと見られています。
環境政策を拡充強化する新政権
鳩山新政権は、発足早々、CO2の1990 年比25%削減を打ち出し、国連総会でもこのことをアピールしました。その後のCOP15 の会議では各国の思惑の中で、わが国は世界をリードすることはできませんでしたが、途上国支援の積極化を謳った鳩山イニシアティブと合わせ、長期的に見て今後の流れを作ったと言ってもいいのではないかと思います。
新政権の下でも、環境政策は引続き拡充強化されると思われますし、補助金やエコポイントの導入などの政策が継続されることにより、従来は、経済ベースに乗らなかった様々の事業が事業化される可能性が生まれてくるものと考えます。
新エネルギーの開発は、国の安全保障の面からも重要であり、例えば住宅やビルの熱効率の改善や小規模水力発電の促進であるとか、温泉熱の有効利用であるとか、従来は取り上げられなかったような、新しい施策が取り上げられてくるのではないかと思います。
東アジアとの連携が重要
もう一つ新政権で注目されるのが、「東アジア共同体」の提唱です。わが国は、既に超高齢社会になってきており、これからは人口が減少していく段階に入っています。このような状況では、経済成長を達成していくためには生産性を思い切ってあげていく、付加価値の高い、どちらかといえばサービス産業を発展させていく、そのような方向がとられなければならないと思います。
それだけではなく、急速に経済発展を遂げつつある中国、それに続くインド、ベトナム等アジア地域が世界の成長センターとなっているのが目に付きますが、わが国は、まさにそこに隣接しているという地の利を得ているわけで、わが国もこれらの国々との垣根を低くし、ともに発展していく方策を講じなければならないと思います。
わが国は、これまで環境面では、これまでの経験から技術的にも進んだ位置にあり、アジア地域に大いに貢献できる地位にあると思います。このような流れの中で、従来型のものづくり企業よりは、環境を前面に出した企業やいわゆる静脈産業の進展が大いに期待されるのではないかと思います。
3R 事業は日本の救世主となりうる
廃棄物の面では、わが国は焼却処理や埋め立て処分から、リサイクル、リデュース、リユースを目指す3Rの方向に大きく舵を切り替えています。経済的にはマイナスの方向であった廃棄物処理は、むしろ無から有を生み出す極めて付加価値の高い産業に変わっていく可能性を秘めているといっても良いと思います。その中でも特筆すべきなのは、廃棄物発電とレアメタルの再利用であろうかと思います。これらの事業は、資源に乏しいわが国にとって、まさに救世主となる可能性を秘めた事業といって良いかと思います。
また、これまで3Rといえばリサイクル・リデュースが中心であり、なかなか進んでいないのがリユースでありました。環境政策に光が当たる中で、リユースにも関心が高まっており、環境省でもそのあり方について研究を進めています。そもそも大量生産、大量消費、大量廃棄が進んだことには、修理やメンテナンスなどの専門家の減少、取り替え部品が供給されないこと等があり、結局は買い替えたほうがコスト安であった事が大きいわけですが、そうした状況をリユースに巻き戻していくためには、これを可能にする社会システムの再構築と安定した需要の確保、低コスト化などが欠かせないと思います。このため、公的関与や公的支援により、こうした活動を経済ベースに乗せるような政策が行なわれなければならないと思います。
今後、こうした機運が生まれていけば、皆さんの取り組んでおられる資源の再生利用は、これまで以上に日の当たる世界に出て行くことになると思います。さらに、それを促進するための政策展開を進めるべく、関係者がもっと声を挙げていく状況になってきているように思います。皆さんが自ら取り組んでいる事業に自信を持ち、自らの役割と社会的効果を訴え、積極的な事業展開を図っていくことが重要で、そして、そのことを可能とする流れが生まれつつあるように思います。
ますます重要になる静脈産業
今ひとつ大事なことがあります。廃棄物を含む資源は、アジア地域では国境を越えて大きく動いています。このことは、皆さんが既に実感されているところであり、年々大きくなっていることは政策当局の関心を高めているゆえんであります。3R政策は、一国だけでなく、アジア地域で共通な認識の下、ともに手を携えつつ行なわれなければならないということで、昨年秋には、環境省の主導の下で「アジア3Rフォーラム会合」が東京で開催されました。こうした動きは、政府だけでなく、研究者、産業界、実務家を巻き込んで、幅広く展開されなくてはならないと思います。
もともと、廃棄物は有価であるか、無価であるかを基に一定の法規制を行なうために定義された概念でありますが、実際は、時に有価であり時に無価であるものとして移動している資源であります。両者は、一体のものとして認識されなければなりませんし、一体のものとして扱われなければならないと思います。
経済の低迷と社会のグローバル化の中で、これまで無価値とされてきたものが一定の社会的システムを構築することにより、有価値のものとして再生する可能性が強まっています。そして、こうした業務、いわゆる静脈産業に従事する方々の役割が益々大きくなる社会となっていると思います。関係者の皆様のご努力をさらに期待するものであります。
多方面に影響力のある組合へ
組合各社の発展を期していきたい
理事長 花澤 義和
2月に入っても、景気は相変わらず先行きが見えず、中国を筆頭とする諸外国に比べ、わが国一国が取り残されているような状況が続いています。環境分野もそれぞれ経営環境は悪く、厳しい状況です。 今の時代、企業単独では顧客のニーズに応えることが難しく、複数の企業や個人のコラボレーションで需要を創造する「協創」が必要な時代になってきています。そういう意味では、組合(M.R.A.)の存在意義が非常に大きくなってきていると考えます。 組合が今目指しているのは、組織の拡大です。地域的には東北方面の強化をしたいと思います。現在、50 社近くの組合員さんがいますが、これを200 社にまでもって行きたいと考えております。ここまで拡大すれば、いろいろな分野に対して影響力を持つことができます。この目標に対してどう取り組むか――。 組合を発展させるためには、タイヤの業界はもちろんのこと、廃プラスチック業界、OA・携帯端末のリサイクル分野など、ウィングを広げた展開をしていきたいと考えております。廃プラスチックの分野はFRP の需要が増えており、またOA・携帯端末のリサイクルは、都市鉱山の問題も含めて、みなさんご存知ようにレアメタルの回収が今後有望な産業になることは間違いありません。
事業としては、タイヤのワイヤーをインゴットにする研究と技術開発、FRP プラント分野の拡大など、実験を基にした基礎データづくり、工場見学なども実施していきたいと考えます。
また、工場、事務所のゼロエミッションの推進も大きなテーマで、そのためにはエコアクション21 取得のための支援事業にも力を入れたいと思います。このほか、斡旋事業の強化、情報の発信力の強化を図って行く計画です。喫緊の課題は、ホームページのグレードアップで、リンクはもちろん、アクセス数を増やすため、訴求力のあるものにする方針です。
いずれにせよ内需喚起、雇用創出、安心・安全・信頼を図る循環型社会の構築に向け、勇気を持って2010 年の端緒を切り開くとともに、去年よりも今年、今年よりも来年と、組合員の皆さんと共に、力のある組合作りをしていきたいと考えております。
タイヤ販売最悪の状況脱する見込み
不況が続けば輸入、中古の増加も
タイヤ協会が昨年末に「2010 年国内需要見通し」を発表した。リーマンショック以来、低迷していた市販タイヤの市場だが、同需要見通しによると、四輪車用タイヤの市販需要は6043 万本にのぼる見込みで、メーカー出荷ベースで対前年比103%、販売会社販売で同101%と、最悪の状況は脱すると予測している。しかし、改善はするものの、依然として厳しい需要環境は続くと見ており、今後の動向が注視される。
品種別に見ると、乗用車用と小型トラック用が同101%、トラック・バス用は昨年の落ち込みが大きかった反動を織り込んで同103%を見込んでいる。また、夏・冬別では夏タイヤが同100%、冬タイヤが102%を見込んでいたが、このところの大雪でスタッドレスタイヤの売れ行きが伸びており、上方修正される可能性が高い。
電気料金の削減に貢献
電力マネジメントシステム展開
日本テクノ
日本テクノ(本社・東京都)は現在、電力マネジメントシステム「ES システムDNA ERIA」の展開を行っているが、これが産業廃棄物収集運搬、同収集運搬処理事業者などの省電力化、経費節減を実現できるものとして、今注目を集めている。
同システムは、電気の使用状況を監視・分析し、電気の使い過ぎを知らせる節電システム。顧客の電力使用状況などを一括管理し、電気料金の大部分を占める「電気使用量」、「デマンド」のデータを閲覧・分析し、効率的な節電プラン作りをサポート、電気料金削減に貢献しようというものだ。
「デマンド」とは、過去1 年間でみた最大需要電力のことで、電気料金の基礎である基本料金は、このデマンドの値で決まる。そのため、この値が上がらないようにコントロールできれば、基本料金のムダを抑えることが可能になるという システムには、スマートメーターという専用モニターが付いており、デマンド目標値が設定されていて、この値を超えると「注意」「警報」表示などで節約を促す表示がされる。使用電力量をCO2換算で表示すること可能で、目で確認しながら節電活動ができる。また、インターネットを利用して30 分ごと、1 日、1 週間、1 ヶ月間の電力需要量が確認でき、電気料金プランの見直しもできるという。
従って、このシステムを導入すれば、電気使用量とデマンドのダブルで下げることはもちろん、従業員の節電意識の向上に役立つ。加えて、電気設備の安全を守る保安・保証サービスも受けられる。
同社では、規模にもよるが「工場で年間300万円、オフィスで年間130 万円の電気料金が削減できる」としており、M.R.A. の組合員でも複数の企業が導入し、経費削減を果たしているという。
他の分野もそうだが、タイヤ業界もこの不況が今後どう影響してくるかどうかが大きな焦点になってくる。不況が続けば中古タイヤや廉価なアジア製タイヤの販売が増加することが当然予測される。適正価格を維持したいナショナルブランドのタイヤメーカーとしては困るが、回収業者としては、量が増えることは事業維持には不可欠。現在、廃タイヤが不足しており、一部で奪い合いが起きているというのが実情で、今後の動きが注目される。
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