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東日本大震災、衷心より哀悼の意

2011/06/01

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復旧・復興をサポート

政府は、超法規的な方策で

地元に権限を

日本資源再生事業進行協同組合

理事長 花澤 義和

 

 

 このたびの東日本大震災で亡くなられた方々に、衷心よりお悔やみ申し上げます。また、被害を受けた方々に、心よりお見舞い申し上げます。4 月、5月上旬の2度に分けて、私は何かお手伝いできることはないかと宮城、岩手の災害地へ状況を見に行ってまいりました。現場は想像以上に凄まじく、手付かずの災害廃棄物の山でした。現場でしか処理ができないほど膨大な量で、一種独特の悪臭も強く、このまま放置しておくと感染症が起きる危険性があることを強く感じました。

 大震災から1ヵ月が過ぎ、2ヵ月が過ぎても現場は何も進んでいない状況でした。現地では、「政府は、委員会を多数立ち上げ、会議ばかりやっている。現場には何の役にも立っていない」という声が圧倒的でした。地元の自治体関係者は必死で頑張っているのですが、原発の問題もそうですが、政府の打つ手が遅く、これが復旧・復興が進まない大きな要因になっています。国が廃棄物処理費用を負担することになりましたが、その方法を組み立ていることができないというのが実情です。現場にプロがいないからです。現地の処理業者も、機材が全て津波で流され対応ができない状況になっています。廃棄処理のプロがいなくなっているわけです。政府にプロがいない。現場にもプロがいない。上から下まで、素人で対応しているのが実態です。

 復興に向けて手を付けなければならないことは山ほどあります。津波で生じた災害廃棄物の中には、アスベストや有害なPCB を含んだコンデンサーや微量PCBを含んだ蛍光灯などが、渾然となった状態になっています。これは、今後処理方法などで問題が起きてくることが確実視されます。このほか、下水道の復旧が全く手付かずで残っています。上水が復旧しても、それを処理する下水道が復旧しなければ、感染症の問題がより広がる危険性があります。

 そんな中で、災害廃棄物を自分たちの手で片付けようという機運が被災者の中から出てきています。これを、地元の新しい雇用に結び付けなければならないと考えます。未曾有の災害で、企業が被害を受け、津波で会社そのものがなくなった地域も多くあります。そのため、被災者の今一番の不安は雇用問題です。津波で一気に仕事がなくなってしまい、10 万人以上が職を失ったと報道されている通り、こうした不安も当然です。廃棄物処理のプロがサポートしながら、地元の人たちを中心とした廃棄物処理が早急に求められています。また、膨大な義援金や各国から多大な支援がきていますが、被災者にはほとんど届いていないのも大きな問題です。原発の問題で、政府から明確な方針が打ち出されていないからです。このままでは、被災者が生活苦になることは、目に見えています。「被災者は置き去りにされている」というのが現状です。

 非常時にはスピードが必要です。政府が非常事態宣言をして、首長に権限と財源を与え、新しい組織を組み立て、地域に雇用を生み出しながら進まなければ、復興は進まないと考えます。非常時にはシンプルな組織が必要です。首長を中心にして地元の業者を軸に、災害廃棄物処理で被災者の雇用を生み出しながら進めないと、復旧・復興は大幅に遅れます。会議は不要。今を何とかしなければ、復旧・復興は進まない。被災者を一歩でも前進させることが重要です。せっかく、被災者の間に災害廃棄物を自分たちで片付けようという機運が出てきていますから、これを新規雇用に結びつけることが、復興を早める道と確信します。

 日本は、かなりの産業基盤を東北に依存してきました。復興が失敗すれば、国力が低下することは、火を見るよりも明らかです。政府は国家非常事態宣言をして、超法規的な方策を行い、地元に雇用を生み出すことが、復興の早道だと考えます。

 

青年部が施設見学会、明輪、前原化成を視察

花澤理事長も参加

 

 青年部(部長・渋谷博文社長)の施設見学研修会が1 月29 日に行われた。今回は、8 社が参加し、株式会社明輪(群馬県渋川市)の廃タイヤ処理施設、前原化成(群馬県前橋市)・エコ推進事業部の廃プラスチック処理・リサイクル施設を見学した。

 明輪では、事務所でのレクチャーの後、廃タイヤの集積場をはじめ、カット加工している現場などを見学。カットタイヤの工程では、ホイールや、タイヤの中にある金属のビードが抜き取られたものが、コンベアで自動搬送され、次々とカット工程に送られていた。タイヤのカット品、ホイール、ビードなどがきれいに分別されていた。カットタイヤは、製紙会社や化学品会社のボイラー用燃料として使われ、ホイールやビードはリサイクル原料として使われる。

 今回の施設見学会参加者は5 社が廃タイヤ以外の分野の企業だったため、初めて見る廃タイヤの加工現場を、興味深そうに眺め、明輪の渋谷社長に多彩な質問をしていた。 

                  

  taiyakakou.JPG                           タイヤのストックヤードを見学

 

 前原化成では花澤義和理事長も参加。同社の概要の説明後、廃プラスチック処理プラント、リサイクルプラントのほか、同社の関連会であるエコ・ライフ(群馬県前橋市)も見学した。エコ推進事業部では、廃プラからペレットを作る工程、それを使った製品製造工程を、メモを取りながら熱心に見ていた姿が印象的だった。

 ecoライフは、廃タイヤから回収したリサイクルゴム材を使ったマット製品の製造・販売を行っている会社。3 ミリ程度のチップ状にした原料ゴムをマット状にした製品は、すでに滑り防止用床材などに一部使用されている。原料チップを接着剤と混ぜてかく拌し、これを金型に入れて成型機で熱と圧力でマット状にする。現在、3 台の成型機で連続成型しており、生産性効率を高めている。

 今回の施設見学会の参加者は下記の通り。明輪、三協興産、倉持商店、油研、リプラス、前原化成、宮路産業、前原化成

   

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                              廃プラからペレットを作る工程

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震災後、消費者の意識が大きく変化

省エネ、節約、預貯金の時代へ

 

 東北から関東にかけて大きな被害をもたらした東日本大震災だが、日本人の行動に大きな影響をもたらしているようだ。震災前と後では、「消費者の意識に大きな変化が起きている」という調査が先ごろ発表された。クロスマーケティングの「首都圏における震災1ヵ月後の生活と消費の意識」調査がそれだ。

 同調査は、首都圏40 キロ圏内の18 ~75 歳の男女4,260 人を対象にした意識調査で、昨年10 月の時点と、大震災の1 ヵ月後の今年4 月に同じ質問をしたもの。結果は消費マインドの冷え込みが顕著になっているという。

 注目されるのが、「買い物は計画的にする」が今回の調査では大きく伸びている点だ。前回は回答の4 割程度だったものが、今回は6 割近くにまで伸びている。反対に「買い物が好きで楽しんでいる」は、59%(前回10 月)から43%(今回4 月)と、前回よりもマイナス16%と激減している。このほか、生活への意識としては、「背伸びをせずに自分にあった生活をしていきたい」、「生活のムダをはぶいて、飾らない簡素な生活をしたい」、「古くからあるものの良さを見直して、生活の中に取り入れていきたい」が、前回調査よりも3~5%伸びている。

 また、5 月12 日~5 月15 日に行った「第2回首都圏における震災2 ヵ月後の生活と消費の意識」調査では、日々の生活はほぼ元に戻ったとしながらも、ゴールデンウィークで近場の施設が賑わった背景に、「今年は家計が苦しいから」、「今後収入が減るかもしれない」、「先行きが不安なのでなるべくお金を節約」といった事柄を上げている。先行きの全く見えない状況、生活不安が大きな要因になっていると同調査では結論付けている。復興税に名を借りた増税や電気料金値上げの懸念など、今後の景気や物価に対する不安感が大きく影を落とした結果と見ていい。

 別の調査では、今後の消費動向の見通しを、従来の成長期の消費スタイルから、LOHAS(ロハス)やスローライフ、エコロジーなどをキーワードにした新しい消費スタイルへと変化すると見ている。持ち家や車の所有から、賃貸住宅、カーレンタル・カーシェアリングへの移行現象が強まっているのが、その顕著な例だ。また、エネルギー節約(東電の電力供給量の減少の影響大)、コスト節約(先行きの不安)などから、「借金より預貯金へ」の流れが強まると見ている。これらが、今回の大震災を機に、さらに進んでいくとしている。消費者の意識は、急激に変わっている。それにつれて、企業の戦略も変わらざるを得ないかもしれない。

     

 エフピコ、廃PETボトルの回収システム作りへ

自社の透明容器原料に活用

M.R.A.に協力要請 

 

 スーパーやコンビニエンス・ストアで使われている食品用PSP(ポリスチレン・ペーパー)トレーのトップメーカーのエフピコ(本社・広島県福山市)は、リサイクルトレーに続き、廃PETボトルを原料にしたリサイクルフードパック・透明容器分野で本格展開をスタートさせた。すでに岐阜県内に大規模なリサイクル工場を設備しており、PETボトル回収システム作りに、日本資源再生事業振興協同組合(M . R . A .)へ協力要請を行った。2 年後には関東地区にもリサイクル工場を作る計画で、今後の展開が注目されている。

 同社は、トレーメーカーの最大手で、リサイクルにも業界で真っ先に取り組み、エコトレーという大ヒット商品を生み出している。リサイクル分野に乗り出してから大幅に売り上げを伸ばし、現在年商約1,500 億円の規模。以前からフードパックやその他の透明容器のリサイクルにも乗り出す意向を示し、研究・開発を重ねてきたもの。現在、順調に伸びており、将来を見越してPETボトル回収システム作りをM.R.A.に協力を要請してきたものだ。

 廃PETボトルは自治体回収が基本になっているが、独自ルートでの回収も行われている。4 月現在で、ベーラー品(圧縮された状態)で1トン当たり45,000 ~55,000 円の間で取引されており、一部は原料として海外にも輸出されている

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